シロアリとは

言わずと知れた害虫『シロアリ』。
白蟻と言えば、名前に"蟻"とついているだけあってアリの仲間だと思っている方が多いんじゃないでしょうか?
実はシロアリというのは、昆虫綱ゴキブリ目シロアリ科 (Termitidae) の昆虫の総称のことで、昆虫学上どちらかと言えばゴキブリの親戚のようなものです。

シロアリは、主に植物遺体を食べる社会性昆虫で、熱帯から亜寒帯まで、陸上のほとんどの地域に分布しています。その種類は2,200種類以上におよび、大きく7つの科に分類されており、日本では4つの科の20種類ほどが発見されています。

木造家屋などに棲みつき木材を食い荒らす害虫として知られていますが、大部分のシロアリは枯れた木材や落ち葉などを食物や巣の材料として物質循環に大きな役害を果たす益虫でもあります。とはいえ対象に好き嫌いがあり効率が悪く、自然界の全セルロース分解に占める割合は1%にも満たないほどです。

シロアリの特徴

白「蟻」と名がつけられているが、アリはハチ目の昆虫で、翅を欠く社会性のハチであるのに対し、シロアリは朽木などの植物遺体を食べるゴキブリのなかから社会性を著しく発達させた系統の昆虫である。不完全変態のため、幼虫は成虫とほぼ同じ姿である。そして、ある程度成長すればニンフという階級を経て生殖虫(いわゆる羽アリで成虫にあたる)となって巣外へ出て行く。この生殖虫の翅は細長くて柔らかく、4枚がほぼ同じ大きさをしている。「等翅類」という名称は、この4枚ともほぼ同じ大きさをしている翅に因んだものである。この翅は折り重なるように畳んで背中に平らに寝かせることができる。ただし飛行後間もなく根元で切れて脱落する。種によって異なるが、それ以外の兵蟻や職蟻は終世翅を持たない。

触角は数珠状。口器は咀嚼型。頭部、胸部、腹部はその間でくびれない。腹部は膨らんで柔らかい。日本産のものは巣内にとどまるので白っぽく、足が短く不活発なものが多いが、熱帯のキノコシロアリ類や餌を野外に探しに行くシュウカクシロアリ科の種類では、7mの穴を掘り水脈を探し、体色が白ではなく茶褐色や黒っぽいものもいる。それらでは手足も長く活発な種も多い。

生態

シロアリはすべて巣穴を作り、その中に王と女王が滞在し、働きアリが餌を運ぶ。巣穴は餌となる材の中に作るもの、地中に作るものが多いが、熱帯のものは、地表に盛り上がったアリ塚(蟻塚)を作るものが多い。一つのアリ塚には数百万匹棲んでいる。塚は高温や乾燥から、中のシロアリを守ってくれる。アリ塚には直径5mmほどの穴がいくつも開いている。働きアリは塚の外に出て、枯れ木、枯れ葉、その他植物遺体を摂食するものが大部分だが、熱帯には地衣類を食べるものも知られる。

高等シロアリと呼ばれるシロアリ科のシロアリにはユニークな生態のものがあり、その中にはキノコを栽培するシロアリもある。それらは喰った枯死植物を元にしてキノコを栽培する為の培養器を作る。それを入れるための巣穴を特に作る必要がある。日本では八重山諸島に分布するタイワンシロアリが地下に巣穴を掘り、そのあちこちにキノコ室を作る。

樹上生活のものもある。やはり高等シロアリで八重山諸島に生息するタカサゴシロアリは、樹木の幹に頭大の丸い巣を付ける。餌は近くの枯れた幹で、働き蟻がそれをくわえて運び込む。熱帯では、地表の枯れ木や枯葉を主として持ち込むものもあり、それらは巣穴から働きアリが地表を歩いて取りに行く。隊列をなして餌運びをする働きアリの列の外側を、兵アリが守っている。

熱帯地方や乾燥した草原には、土や自身の排泄物などで巨大な「アリ塚」を築く種類もいる。アリ塚の壁は厚さ15cmにも達し、一年を通して温度・湿度の変化が小さい。

<食物と腸内微生物>
食物はおもに枯死した植物で、その主成分はセルロースである。しかし、下等シロアリではセルロースを分解する能力が低く、消化管内の共生微生物(主に原生動物)の助けを得ている。一方高等シロアリでは、シロアリ自身もセルロースを分解する酵素(セルラーゼ)を持っていることが確認されている。これは遺伝子の水平伝播を示唆していると考えられている。

下等シロアリ類では消化管内にすむ共生原生動物の酵素で植物繊維のセルロースを分解し消化吸収する。共生しているのは超鞭毛虫類や多鞭毛虫類が中心で、そのほとんどはシロアリの腸内のみに生息している。熱帯で繁栄する高等シロアリ類(シロアリ科)では共生原生動物を欠き、グループにより、担子菌のキノコや細菌などと共生関係を持つ。

担子菌類と共生するキノコシロアリ類は、巣の中に菌類培養室をいくつも持っている。野外から植物遺体を採集してくると、まずそれを食い、その糞を積み上げる。共生菌がその上で成長し、糞に含まれる成分を分解する。シロアリはその塊の底から食ってゆき、また糞をその上に積み上げる。これを繰り返してゆけば、積み上げられた糞の中の成分は次第に分解され、シロアリは食ったものの中から吸収できる成分を吸収する。吸収できなかった成分は再び糞として積み上げられ、すべてが吸収できるまで循環することになる。そのため、シロアリの巣内に持ち込まれた植物遺体は二酸化炭素と水になるまで分解され、土壌形成という形で広い範囲の土地を肥やすことにはならないとも言われているが、巣の近辺には無機栄養塩が濃集することで植物の生育がよくなることが知られている。

分類

  • ムカシシロアリ亜科 Mastotermitinae
  • レイビシロアリ亜科 Kalotermitinae
  • オオシロアリ亜科 Termopsinae - オオシロアリなど
  • シュウカクシロアリ亜科 Hodotermitinae
  • ミゾガシラシロアリ亜科 Thinotermitinae - ヤマトシロアリ、イエシロアリ
  • ノコギリシロアリ亜科 Serritermitinae
  • シロアリ亜科 Termitinae

シロアリをシロアリ目とする場合、これらの亜科は科となる。したがって、「シロアリ科」という科名はシロアリの総称以外に現在のシロアリ亜科を指すことがあるので注意が必要である。

シロアリはゴキブリ目に属すが、シロアリに最も近縁なゴキブリはキゴキブリ科(クリプトケルクス科)である。

駆除

建築害虫であるシロアリの駆除を専門とする業者が多く存在する。多くはシロアリ薬剤を柱の食害部分に直接注入したり、周りに散布する方法が取られる。人体に対する影響が大きい亜ヒ酸は現在使用禁止になっている。日本しろあり対策協会は和歌山県高野町の金剛峯寺にシロアリの墓を建て、定期的に慰霊祭を行っている。高野山に行けば、歩道からシロアリの墓を確認することができる。